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イングランドの下部リーグでサッカー選手として暮らしてみる!Part 1

イギリスにて「サッカー選手として生活すること」(しかもGKとして)を目標にして、2年間のワーキングホリデーの間にイングランドの7部と8部でプレーした玉井リョウさん。

2015年の冬の移籍で、クリスタル・パレスがFWケシ・アンダーソン(19)選手のシンデレラストーリーで話題になったイングランド8部リーグ。サザンリーグ・ディビジョン1・セントラル(8部相当)のバートン・ローバーズからの移籍でした。

リョウさんがワーホリの期間である二年間で実際に体験したフットボールの下部リーグとはどんなものであったのでしょうか?(全3回)

第1回は、イギリスにくるきっかけやイングランドフットボールと日本サッカー文化の違いなどを綴ってくれました。

 

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イギリスでサッカーをやろうとしたきっかけ

こんにちは。イングランドの下部リーグ(7部と8部)でGKとしてプレーしていたタマイ•リョウです。

2011/12、2012/2013シーズンをロンドンで実際にプレーしてみて感じたことを3回にわけて、伝えていけたらなとおもいます。

まず、イギリスを選んだきっかけのひとつは、友人がF.A. International Coaching Licenceを取得するために半年ほどイギリスに留学していて、そこでの彼の体験を聞いたことです。
(下記写真は、International courseが行われるセンター)

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当時僕は日本の地域リーグのクラブに所属していましたが、サッカーに専念できる環境ではなく、バイトをしながら遠征費や年会費をクラブに納めながらプレーしていました。

「サッカー選手」というよりも、言わばクラブの「会員」で、会費さえ払えば良いプレーをしても悪いプレーをしてもそのクラブに居続けられる。「選手」としての評価を「給与」「クビ」としてハッキリした形で受けることは当然ありませんでした。

 

サッカー選手として挑戦してみたい

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プロ選手にはなれていなかったけれど、僕を「サッカー選手」として厳しく評価してくれる場所でプレーしたいと思っていた当時。

友人からイギリスサッカーについての事を聞いて、真剣にプレーできる環境があると信じて(確固たる根拠もなかっですが)渡英を決意しました。


お金をもらいながら、サッカー選手をしてみたかった

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イギリスでのサッカーの目標を一言にまとめると、
「サッカーでお金をもらい暮らしてみたい」

2年間(ワーキングホリデー)と留学期間が決まっていたので、2年後の帰国までにはアルバイトや貯金に頼らずサッカーで貰ったお金でだけで生活することを目標としました。

ということで、所属ディビジョンにこだわらない訳ではないけど、まずはこれを第一条件にチーム探しを始めました。

 

サッカー履歴書(CV)を送りまくる作戦で見つけたクラブチーム

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チーム探しはロンドンに到着してから始めると決めており、到着後まずは現地にいる唯一のサッカーに精通する知り合いに現地でサッカー事業に携わる宮原氏を紹介していただき、Jamie Lawrence Football Academyというサッカーアカデミーに連れて行っていただきました。

元プレミアリーグ選手が行うアカデミーなので、目立つことができればクラブを紹介してもらえるかもしれないし、集まる選手も、プロ選手もいれば上のレベルを狙ってるアマ・セミプロ選手など様々でしたので、色々な情報を交換できるとても良い場所でした。

結局このアカデミーでチームを見つけることはできませんでしたが、トライアルを受けに行く前にイングランドのサッカーを体験できたことは大変大きかったです。


使っていた、フットボールCV公開します!

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ではどのようにチームを見つけたかというと、まずはインターネットでロンドン周辺の様々なディビジョンのクラブのホームページからメールなどでサッカーの経歴書 Football CVを送りまくりました。

下記は2年目になるときに作成したCVです。 

基本的に形式は自由で、経歴や身長などは盛ってます。笑 
クラブもそこまで気にしません。

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Hello, this is Ryohei Tamai.

I’d like to make a trial to join your first team if it is possible.
Here is my detail.

Position-goal keeper
Age-24 DOB(6,Oct,1987)
Height-6 feet
Nationality-Japanese

Football Experience
-11/12 haringey borough fc (spartan south midlands league premiere div as a semi professional) League cup winner.

Game appearance-more than 35 games

-09/10,10/11   ACA FC
(Japanese football league div.3 as a semi professional)

Email
●●●●@yahoo.co.jp


Mobile
07●●●●●●●●●

I’m looking forward to hearing from you.
Thank you .
Ryo

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どのようなスケジュールで進めていったか?

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僕が所属していたセミプロクラス(現地ではNon-leagueと呼ばれています)のクラブのシーズンスケジュールはだいたいは決まっているので、そのタイミングを逃さないよう早めに渡英して準備を行いました。

6月末 ホームページ等で選手募集を開始
7月プレシーズン・チーム始動(トライアルや練習生を受け付ける)
8月中旬~末 リーグ開幕

 

チーム探しにおいての必需品

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チーム探しで苦労しないために、現地に着いたらまず確実に素早く連絡の取れる携帯・できればEmailのできるスマホ等の購入をおすすめします。

また、インターネットで情報収集する際にパソコンがあるとないとでは大違いなので、こちらも準備しておいた方がいいと思います。

メールをしたのに返信が無ければ監督、会長に再度メールを送り、直接電話もしました。

その中から練習参加をとりつけたりトライアルに参加し、結局、練習参加をしたクラブの一つと契約することができました。

 ひたすらに、がむしゃらに!

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当時の自分のがむしゃらさ加減がわかる出来事。

あるクラブのトライアル募集は終わってましたが、会場と時間はわかっていたのでとりあえず会場に行き飛び込みでトライアル参加をお願いすることにしました。 

会場について参加可能かどうか聞いてみると、案の定予約していない選手はダメと言われました。

しかーし、ここであきらめない!

その場でがむしゃらに頼み込み、自分はゴールキーパーだということも伝えると、そこにいたキーパーコーチからOKと言われ、ゲームに参加することができました。

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結局このチームには受からなかったけど、日本とは違い規則はあってないようなものなので、自分で直接クラブに足を運べばもしかしたら練習参加できたりと何かが起こるかもしれません。

何が何でもサッカーのできる場所を探そうと思い、当時はがむしゃらに行動していました。

 

イングランドフットボールと日本サッカー文化の違い

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向うで感じたピッチ外での日本とのサッカー文化の違いで、幾つか印象に残ったものをお伝えします。


お酒?!

10717873_690163077727666_905791815_nHaringey Borough FCのスタジアム内のBar

試合が終わったら、着替えを済ませた選手からスタジアムに併設されてるバーへと向かいます、そこではみんな当然のようにビールを飲みます。 同時に食事も出され、そこでその日の試合の話などをチームメイトとしながら親睦を深めます。

活躍した選手は、サポーターや監督からビールを勧められたりもしてました。

クラブで決まっている正装10726253_690162951061012_1046299717_n
Harlow Townのネクタイ

クラブと契約した時に、練習着と一緒にネクタイが配られます。試合の日にはこのネクタイを締めフォーマルな服装で試合会場に向かうのがクラブのルールです。


チームには罰金制度もありました。

様々なルールが設けられ、それを守らなかった場合には各選手に罰金(Fine)が科せられます。

・無断欠席
・遅刻
・イエロー、レッドカードを受ける
・遠征移動時の服装の乱れ
・ミーティング中に携帯が鳴る

ユニークなものだと、、、、
・練習、試合後にシャワーを浴びない
・シャワーを浴びた後床をビタビタに濡らさない   などなど

マッチデープログラムは情報の宝庫

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試合の日はホームチームがマッチデープログラムを必ず用意します。

だいたい一部 £1、5~£2 くらいで、予想スタメンやリーグテーブル、対戦チーム同士の過去の戦績、スポーンサー広告などが載っています。ほとんどのサポーターが手にしています。

徒歩圏内の地元街クラブを愛する観客(熱すぎます

10719553_690168544393786_1468171220_nHarlow TownFCのサポーター

とにかく観客とピッチが近いので、色々な声が飛び交い、審判や相手選手に対するヤジは当たり前です。

アジア人を馬鹿にする意味で、当時流行っていたPhyの「ガンナムスタイル」をゴール真後ろで歌ってくる相手サポーターもいました。笑

そのヤジに対し選手や審判も言い返し、普通に会話をします、言われたことをそのままにするとそれを認めたことになってしまうので、その場で言い返す。

 ロッカールーム

10708143_690167994393841_1279539871_n 試合後のロッカールーム

試合前のロッカールームはミーティングの時以外は常に音楽がガンガン鳴り響いていて、アウェイの時も決まったやつがでっかいスピーカーを持ってきて曲と一緒に踊っています。笑

その中でも集中したい選手は何人かいるけれど、全く気にせず怒る様子もなかったので、これがFootballの日常なんでしょうね。

第一回、了。


編集後記。

いかがだったしょうか?がむしゃらな男は、応援したくなりまね。2回目以降は、ピッチの中での出来事(チームメートや監督)や英語環境などより詳しくお伝えできればと思います!!

第2回はこちら(ドロ沼イギリスと日本サッカーの違い)
第3回はこちら(サッカー単語集、給与は?)

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インタビュー: イギリス下部リーグで日本人選手が活躍するためには

ロンドンからこんにちは。
FOOTBALL AT UK編集長の竹山トモです。

今日は、2014年6月〜9月末までの3ヶ月間イギリスでサッカー選手として留学していた轡田 葵左(くつわだ きさ)選手(以下:Kisa)にフォーカスを当てながら、イングランドリーグのレベルや様子をお伝えします。さらに、キサ選手へのインタビューを通じて、留学を経験して得たこと、日本人選手がヨーロッパで活躍するための鍵となることなども探っています。

S__2244720ペッカムライのエルラード監督とKisa選手

選手としての目標設定をして渡英
Kisa選手は、アルビレックスから星稜高校に進学し、1年間地元のクラブチームでプレーして渡英しました。 留学生活を振り返りながら行った今回のインタビューでの最初の質問、「なぜイギリスで3ヶ月間プレーすることを決めたの?」と聞くと、とてもはっきりした答えが返ってきました。

Kisa: 僕自身、ゲームの流れの中で‘‘いい判断ができない選手’‘だとおもっていました。ワンタッチプレーができない、ボールに触れないとずるずると下がってしまう。外から見たら、日本のチームでよく見かける調子にのったプレーヤーに見えていたかもしれません。いろんな人から指摘されていましたし、自分でも改善すべきだとわかっていました。日本でもよくプレミアリーグの試合を観ていたので、縦に早いゲームの流れの中で、自分が身につける裏に抜ける動きや勝負をしかける動きが身につけたいなとおもっていました。

FOOT AT UK: 留学での具体的な目標設定がゲームのなかで「うらにぬける動き」だったんですね。イギリスの下部リーグでの戦いかたは直線的かつフィジカル中心のサッカーですが、3ヶ月のトレーニングや試合でそれをどのように学ぼうとしましたか?

Kisa: パスをたくさん回して攻撃するよりも、ゴールに直線的なほうが、効率がいいときがあるじゃないですか。他の選手が試合中に判断するときも、ゴールに直結するプレーが多かったと思います。もちろん面白くないときもありましたけど、そのなかで2トップ、3トップ、サイドの選手として試合にでたときは、必ずウラを狙っていました。ゴールに向かう意識が共通しているので、MFやDFの選手でそのパスを狙っている選手がいたことは、とても大きかったですね。

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試合で目立つために必要なこと
FOOT AT UK: プレシーズンの試合や、リーグ戦で10試合以上に出場していましたが、日本人が選手として活躍するために何が必要だと感じましたか?結果はもちろんですが、その結果をだすためにやるべきことをあげるとしたらなにが必要でしょうか?

Kisa: まず試合や練習にいくと、他の選手たちの体がめちゃくちゃでかいのですが、それに萎縮してはだめです。あとは、英語の問題はもちろんありますが練習でも試合でもとにかく伝えないとだめです。言い方はよくないですが、よくキレていましたね。つたない英語だけど、単語でも思ったことを伝える。それで、ボールを受けてしっかりとプレーできることを示せれば、またパスがきます。

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英語は、プレーする上でも、とにかく大事!
FOOT AT UK: コミュニケーションの話がでましたが、選手としてどれくらい言葉で伝えることが大事だと感じましたか?

Kisa: とにかく大事です!つたない単語を繋げていただけかもしれないですけど、もっと言い方をいろいろ知っていたらと、もっといいプレーできるのではないかと痛感しました。地下鉄内の無料でよめるMetroの新聞をもらって、なんでも読んで単語を調べていました。サッカーの記事を読んだり、スコットランドはなんで独立するのか?電子辞書とともに、あー!そういう意味かと。

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イギリス•ロンドンでの留学生活
FOOT AT UK: 最後にベスト3の思い出をどうぞ。

Kisa: やっぱりサッカーするために来たので、1番はプレーしたこと。この経験を必ずつ次に活かしたいです。2番目は、Capital One Cupのミルウォールvsサウサンプトンですね。吉田選手を目当てにいったのですが、ミルウォールのファンが熱くて、試合もバチバチやりあう試合で本当におもしろかったです。あーゆう、観ている方も熱くなる試合が好きなんです。3位は、こちらで活動しているロンドンのチームで子供たちを一緒に指導できたことです。


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帰国前の最終戦、Kisaが所属していたリングフィールド(10部)のホーム戦。

相手チームのファンも車でかけつけて、スタンドつきの会場には150人以上が集まります。 マッチデープログラムも販売されており、ゲートにはクラブチームのチェアマン自身が立ち、チケットを販売。ピッチ脇で、パイ、ホットドッグ、ビール、紅茶などを飲みながら、やってくる仲間たちとそれぞれに時間を過ごします。

ここ2試合連続得点中のKisaは監督ディクシーからの期待も高く、モチベーションも高まっていました。サイドラインで見ているとバチバチぶつかる音が聞こえます。

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Kisaの試合を数試合観戦したFA公認代理人の宮原氏(ロンドン在住)は次のように彼のプレーを分析しました。

「Kisaはストライカーとしてはリーチが長くありません。その分、重心をなるべく低く、また相手の長い足に引っかからないように懐深くキープする技術が非常に高くなったと思います。ワンタッチプレーや、切り返す角度の深さを更に鋭くするなど多々工夫はあると思います。ストライカーという結果重視のポジション、異国の地、違うフットボール文化の中で適応し実践して行く事は、フットボールのうまさは勿論ですが、頭脳・英語の理解力・戦術理解力・性格が非常に大事になってきます。Kisaはぐいぐい行ける感で、頭も良いのですっかりなじんでいました。自分にも厳しくトレーニングしているのでプロ意識は非常に高いです。一人で空いた時間にはイメージトレーニングを頭の中で2試合出来たりするらしいです笑。最後の試合では点を決める事が出来なかったけど、イングランドで少しでも成長して日本に戻ってくれたら最高です。」

編集後記:
自分で目標を決めて、それに挑むこと。いまいる環境のなかでベストをつくすこと。サッカー選手として上に登っていく為には、当たり前のことでしょう。

彼がロンドンで挑戦した舞台はプロのような華やかな世界ではないし、またKisaが体感したことを日本に戻ってどのように還元できるかは未知です。しかしながら、サッカーを取り巻く環境でさらに上を目指そうと没頭し、自分を追い込んでいたのは事実でありました。今後の活躍を願います!

本場イギリスで学ぶサッカー留学プログラム

 

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