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イギリス×サッカースタジアム×自転車縦断記 vol.2 ニューカッスル編

イギリスのフットボールクラブのスタジアムを自転車で巡りたいと日本から自転車を飛行機に乗せて渡英したNくん。イギリスを北から南へと縦断をしながら、旅はつづきます。

Vol1はこちら↓
イギリス×サッカースタジアム×自転車縦断記 VOL.1 出発編

ニューカッスル空港で自転車を組み立て、無事に啓行し街の中心部へと向かった。滞在するホステルを目指している途中、この旅で最初のスタジアムとなるセント・ジェームズ・パークに辿り着いたところから再開です。


ニューカッスルのスタジアムは丘にそびえ立つ要塞、セント・ジェームズ・パーク

image1 (4)レンガ造りの入り口

郊外にある空港から田舎道をしばらく走り、ニューカッスルの街に近づくとまず見えてきたのが大きなセント・ジェームズ・パークの屋根。

イギリスは平坦な地形とばかり勝手に想像していたのが、ニューカッスルは意外にも坂が多い街だった。

丘の上に高々と構えているひときわ大きな建物がセント・ジェームズ・パークだ。この日は旅の初日かつ日本からの長旅ということもありセント・ジェームズ・パークでは何枚か写真を撮影して宿泊先へ向かった。

しかし、浮かれ気分だったのか完全に道に迷ってしまった。挙句の果てにはおじいちゃんに道を逆に尋ねられる始末。ニューカッスルは皆が道に迷う街らしい。

なんとか宿を発見し、その日は即就寝。次の日の朝まで14時間くらいベッドの中だった。

いざプレミアリーグ観戦 チケット購入方法と受け取りかたとは?

時差ボケ、長旅の疲れが少しばかり気になる中、到着の翌日にニューカッスル-トットナムを観戦した。朝から生憎の雨模様で、かつ寒い。フード付きのダウンジャケットに厚手のズボンと靴下は観戦に欠かせない。

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プレミアリーグのチケットは案外容易く手に入る。いわゆるビッグクラブ以外のチケットはホーム側のクラブ公式サイトからチケットページへ飛び、購入に必要な会員登録(無料)をする(クレジットカードの情報が必要)。

あとは各試合のチケット発売日にサイトへアクセスして座席(プレミアリーグは全席指定。自由席はない)を選んで購入するだけ。

この自転車の旅においても僕はこの方法で、ほとんどの試合のチケットを買うことができた。ビッグクラブの会員登録には年会費を支払わなければチケットを購入できる権利が与えられない場合が多い。

試合まで日にちが空いている場合は、日本の住所へ郵送してもらってもいいし、試合当日にチケットオフィスで受け取る(collectと呼ばれる)こともできる。チケットオフィスで苗字のアルファベット頭文字を伝えれば、すぐに発券してくれる。

夢の時間は消失の90

チケットを手に入れたら、ターンスタイルを通過しスタジアムの中へ。キックオフ1時間半前に入場しても、ほとんど誰もいない。

初めて観戦に来たのであろう少年とそのお父さんが一組、それとスチュワードが各ゲートに配置されているくらい。

皆パブでビールを一杯ひっかけてからキックオフ直前にやってくるのがプレミア式のスタイルだ(早く来ても寒い中待つだけである・・・しかも雨だ)。

ただ誰もいないスタジアムの写真を撮れる利点もある。

image1 (12)ほとんど誰も来ていないスタジアム

image1 (13)開始1時間前でもガラガラ

image1 (15)キックオフ2分前に超満員になる

アップが終わり、徐々に埋まってきたスタジアムに響くチャントは寒さを忘れさせてくれる。そこからは夢の時間の始まりだ。プレミアリーグの公式アンセムが流れ、スタジアムは最高潮の中、キックオフを迎える。

image1 (14)イングランドのクラブの円陣は珍しい?

激しい球際に体と体のぶつかり合い。ワンプレーワンプレーに一喜一憂する北部のおっちゃんたち。

だが、ホームチームは圧倒的にボールを支配され、4失点する。

80分を過ぎると席を立ち始める人が増え、寒さの中、家路につく。初めて観戦に来ていたあの少年は何を思ったのだろう・・・。

少なくとも僕は、贔屓にしているロンドン北部の宿敵がニューカッスルを相手に4得点したことに良い気分ではいられなかった。

image1 (16)ハーフタイムイベントの様子

初めての場所を訪れたら、ひたすら歩く。道が行き止まりだったら戻ればいい。

試合の翌日、ニューカッスルの街を練り歩いた。おすすめはタイン川沿い。タイン・ブリッジが架り、路地裏やレンガ造りの建物で歴史を感じさせてくれたかと思えば、向こう岸には近代的なドーム型の建物が見えたりする。川沿いにはカフェもあり、そこで一息つくのもあり。

image1 (6)タイン・ブリッジ 

image1 (5)近代的な建物

午後は前日から降り続く雨が強まってきたこともあり、中心部にあるショッピングモールへ。

イギリス用の携帯を購入した。イギリスの携帯はプリペイド式でSIMフリーのものもあるので短期・長期滞在に合わせて購入できる。また、ショッピングモールやカフェには無料のWi-Fiがあるので、電話が必要ない人は、日本から持ってきたスマホだけで十分事足りる。

スポーツショップや本屋、服屋、スーパーなどショッピングモールは日本のそれと大差はない。

気になる場所はもう一度訪れる

時間があれば、気になった場所には後日、もう一度行くことにしている。そこには新たな発見がある事が多い。

「こんなところに階段がある。登ってみよう」

「この前は入れなかったお店に入ってみよう」
とか、旅において、後悔はしない方がいい。

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ニューカッスルで見つけた路地裏

ニューカッスルで僕が2度訪れた場所はタイン川沿いとセント・ジェームズ・パークだ。もちろん新しい発見はあった。

タイン川には朝早く、この前は訪れていたので時間をずらして夕方に行ってみた。そこにはニューカッスルで一番の絶景が待っていた。

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また、セント・ジェームズ・パークの裏手ある公園も悪くない。マッチデーではない日にゆったりとスタジアム周辺を散策すると、じっくりと街とクラブの匂いを感じることができる。

image1 (18)公園から見えるスタジアム

image1 (19)試合のない日は静か

image1 (20)看板にも味がある

クラブの練習場へいってみる

 プレミアリーグのクラブはスタジアムに練習場が隣接されていることはなく、だいたい街の郊外にあることが多く、またトレーニングの場所さえ公にしていないクラブもある。

練習時間もクラブのサイトなどには一切記載されておらず、練習の公開もしていない、まず練習場に入れないのだ。だからといって諦めるわけにはいかない。

ニューカッスルも例外ではなく、場所はわかったが練習時間はわからない。それでも、とりあえず行ってみようということになった。

住宅街に突如現れる練習場

なぜか自転車は宿に預けたまま、ランニングでマップを頼りに練習場へと向かった。街からどんどん離れていき、緑と住宅が多くなる。地元住民しかいないような小さな駅、公園を通り越し、住宅地すら終わってしまい緑だけになりそうなところにニューカッスルの練習場はあった。

image1 (23)静かなところにひっそりとある練習場

着いた時に思った。「誰もいない。」。本当に誰もいなく、シーンとしている。ただ門は開いていたので中に入り、車道をしばらく歩くと人工芝のピッチがお目見えした。何面もピッチがあり、遥か先にはクラブハウスと思われる建物(小学校くらいの大きさ)があった。

image1 (24)何面もあるピッチ

image1 (25)クラブハウスらしき建物

入れなかった後悔

結果から言えば、クラブハウスらしき建物には入らなかった。というか入れなかった。広大な敷地、そびえ立つクラブハウスにビビってしまったのだ。

今思い返すと、後悔は大きい。あの時、一歩踏み出して建物に突撃していたら・・・。もしかしたら中を見られたかもしれない。門前払いの可能性もあったし、そもそもクラブハウスではなかったかもしれない。それすら分からずじまいになってしまった。悔しい。

 

image1 (8)ニューカッスルの街

次回はニューカスルの宿敵、サンダーランドの行った時のことを。この旅で一番の恐怖を味わった場所。お楽しみに。

記事の写真のほとんどが白黒なのは、みなさんがもしこの中に出てくる街を訪れた時に、そのイメージを壊さないためである。あしからず。

Vol2 了

本マガジンFootball@UKは、イギリスサッカー留学(選手、コーチ資格、語学留学、大学進学)の現地サポートをロンドンより行っています。

Webマガジンや留学に関するお問い合わせなどは、下記リンクよりお問い合わせくださいませ!

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年末が一番楽しい!Jリーグコーチとゆくプレミアリーグ観戦

英国プレミアリーグをシーズン中に一番堪能できるのは、どのタイミングであるかご存知だろうか?

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答えは、ボクシングデーと言われるクリスマス翌日の12月26日からはじまるプレミアリーグの大連戦!

ロンドンからこんにちは、Football@uk編集長の竹山トモです。

Jリーグの徳島ヴォルティスでヘッドコーチを務めている長島氏は、オフの期間を利用しながら、ヨーロッパの国々やイギリス•ロンドンに滞在しながらフットボールの旅を毎シーズン堪能されている。(なんと9年連続で渡欧)

今年は、FA代理人の宮原氏やQPRスタッフに協力をあおぎながら、アーセナルスタジアムツアー、プレミアリーグのアーセナル-QPR戦、QPRのトップチーム練習見学などをFootball@UKマガジンメンバーにて旅+研修をコーディネートさせていただいた。

イギリスサッカー留学やプレミアリーグ観戦、スタジアムツアーなど、きっと役に立つ情報が満載。写真を中心に振り返ってみましょう。

シーズンオフを利用したイギリスフットボールを探求する旅は5年目に突入

IMG_1096 QPRのトップチームの練習模様(写真はハリー•レドナップ監督)

長島コーチのフットボールの旅は、2006年のS級海外研修をきっかけに毎年シーズンオフおこなっており、今回で9回目を迎える。(イギリスは5回目)

スペインやポルトガルのクラブチームにて一週間ほどコーチング研修を行い、その後12月末のプレミアリーグの試合観戦が主なコースとなっている。

これまで英国の滞在では、マンチェスターユナイテッド、マンチェスターシティ、チェルシー、アーセナルなどのプレミア観戦。

また歴史的なスタジアムやFAが創立された少しマニアックなパブ案内などのフットボール三昧のスケジュールである。

2014年は、プレミアリーグ観戦や2部リーグのチームの練習視察(QPR、ブレントフォードの2チーム)をおこなった。

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元イングランド代表のレス•ファーディナンド氏がロンドン郊外にあるQPR練習場を案内してくれた。

プレミアリーグのクラブはトレーニング場へは関係者以外ほとんど立ち入りできないが、今回はQPRアカデミースタッフの協力のもとに特別に見学を許可していただいた。

現在QPRは、インペリアルカレッジという大学からトレーニング施設をレンタルしており、数年以内にスタジアムと練習場の移設を予定しているようだ。

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他国のリーグは休暇に入るなか、イギリス国内リーグはクリスマス期間と年明けの時期も2週間で5試合ほど過密日程で行われる。

今シーズンは、12月22日、12月26日、28日、1月1日、1月4日の試合日程となっている。(信じられないハードさ)

選手やスタッフにとっては正念場の時期であるが、ファンにとっては世界最高レベルのゲームを堪能するには申し分ないスケジュールでもある。

IMG_1099QPR監督のハリーレドナップ監督とFA代理人の宮原氏

世界最高峰のスタジアムでのホスピタリティを体感できるアーセナルスタジアムツアーは必見

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試合がない日は、スタジアムツアーなどを訪問し、イギリスフットボール文化を感じるとることができる。

大人は入場料が£18(約3500円)と決してお安い値段ではないが、サッカー好きならばロンドン観光のスケジュールの中にぜひとも組み込んでほしい。

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日本語のオーディオガイドを借りると、より一層楽しむことができる。

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スタジアムの中段は、クラブレベルと呼ばれているスポンサーやチーム関係者、シーズンチケットを持つファンの富裕層などが利用しているVIPゾーンである。ベンゲル監督は試合前にここへ足を運び、気持ちを落ち着かせてからゲームに挑んでいる。

IMG_1011ピッチを眺めつつ、これから行われる試合をイメージしながらスタジアム内で食事をするとは、なんとも贅沢なひととき。

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食事テーブルもアーセナル仕様でクール。

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ベンゲル像がお出迎え

IMG_1013席は革張りでクッションがあり、座り心地は最高

 

更衣室を訪れ、試合前のアーセナル選手の心境を感じる

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 U字型に設計された更衣室の形はベンゲルの構想によるもので、試合前に選手たちの一体感を生み出す工夫がなされている。わたくし、たけやまもいつ呼ばれてもいいように準備ととのっております。

IMG_1040ボード、テレビ、監督が座る位置などが綿密に計算されている。

IMG_1039長島監督就任

 

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ピッチでは、芝の養成のために人口のライトが照らされて、次の試合に向けてグランドキーパーが丁寧な仕事をおこなっている。芝生の長さは、2,2センチ。

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選手の体のケアは、シーズンの結果に直結している。
壁にかかる人体の絵は、おそらく選手が自分の体のことを勉強してもらうためであろう。ベンゲルが就任してまずはじめたことはスタジアムにあった試合後に選手が利用するバーを閉鎖したことであったようだ。

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ピッチ脇によって指示をだす。が、迫力がまったく足りない。

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長島コーチの笑顔をひきだすインタビュー。気になるその質問内容とは….

 

スタジアム脇にあるミュージアムではアーセナルの歴史を体験

IMG_1069ベンゲルもすごいけれどチャップマンこそがアーセナルの伝説だなぁと、長島コーチの感慨深いコメント。

IMG_1068チャップマンは、WMシステムを開発、ユニフォームに背番号をいれたり、ナイターで試合をしたりと型破りのことをいくつも実践したチャップマン監督。 

ツアー後はスタジアム内のメガストアでおみやげを購入

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日本では販売していないグッズやジャージも手に入れることができるメガストア!

クリスマス翌日、チェルシーからアーセナルのはしごプレミア観戦!

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お昼からチェルシー対ウェストハムを観戦

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今シーズンのチェルシーの安定ぶりは、群を抜いている。

ゴール前でのアザールの切り返しの深さとキレは別格、ディエゴコスタのボールがないときの動きも想像以上であったと長島コーチ。

試合後の夕食の際にも詳しく話を聞いたが、
「チームとして連動しつつ、ぜったいに負けない守備組織を作り上げ、攻撃では個の良さを存分に引き出しているモウリーニョの手腕」に感銘を受けていた。

試合後は、地下鉄に乗りアーセナル-QPR戦へ

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前日にQPR練習見学しているために、QPRに肩入れしつつもゲームは序盤からアーセナルに圧倒される。特にサンチェスの動きは、異質の輝きを放っていた。アーセナルよりもチェルシーの方が手堅さが印象に残っている。

 

-今回の旅を終えて-

長島コーチは日本サッカーの第一線で活躍しながらも(FC東京、山形、徳島などでトップチームコーチ)、オフシーズンは個人としてヨーロッパサッカーの現在と実直に向き合いつづけている。

日本のスタイル確立も必要だが、欧州トップリーグには資金、人材が集まり次世代のフットボールが生み出されていることは事実であると思う。

もちろん、オフなので観光もするし、趣味に近い旅でもある。しかし、旅をお供していて毎年思うことであるが、趣味への没頭ぶりが他の人よりも圧倒的だなぁ。と長島コーチと話していて感じる。

「努力は趣味に勝てないんだよね」とさらっと言った言葉は、すべてのサッカ
ー人の励みになる。来年は、FAコーチングライセンスに挑戦しようというお話も。楽しみにお待ちしております。

2014年12月30日

イギリスサッカー研修、留学の問い合わせ可能
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イギリス×サッカースタジアム×自転車縦断記 vol.1 出発編

イギリスのフットボールクラブのスタジアムを自転車で巡りたいと日本から自転車とともに乗り込んできたN君。 イギリスを北から南へと縦断をしながら、旅をすすめていきます。

第1弾は、出発編とニューカッスルまでへの道のり。クールかつスタイリッシュがN君のモットーにありますが、もちろんそんなにかっこいいだけなんて旅であるはずもなく、ハプニングがつきものになります。

〝イギリスを縦断しながらフットボール文化に触れたい

「プレミアリーグの全スタジアムを訪れたいなぁ。」

とファミレスで、この旅の構想はふと浮かんだ。一緒にいた誰かと旅行の話をしていた時だ。

時間も労力も莫大にかかる実に効率の悪い旅。でも、フットボール馬鹿の僕からしてみれば、どんなに燃費が悪かろうと、成し遂げたくなるような、そんなアイデアだった。

サッカー馬鹿フットボール馬鹿、マンチェスターのNational Football Museumの前にて

“自転車でイギリスを縦断することに”

2014年2月から4月にかけて、イギリスを北から南にかけて縦断した。

プレミアリーグの全サッカースタジアムに行くという当初の路線からは徐々に変わっていったが、〝自転車で〟イギリスのスタジアムを巡ってみるということになった。

イギリスの冬は寒く、雨も多い。でもそんなことは気にせずに、小回りの効く移動手段を選んだ。始まりの地はニューカッスル、終点はブリストルに設定した。

ダラムゴール前自転車とゴールマウス

“イギリスフットボールの旅を完結させたい”

旅から半年以上経過した今、あの旅をいま一度振り返りたいと思った。

というより、恥ずかしいことにブログは未完成のままだったし(更新を途中でやめた)、日記も汚い字でメモが残してある程度。

じつは、この旅はまだ完結していない。フットボールの魅力だけでなく、その街の情景や雰囲気、些細な出来事などを織り交ぜながら、この旅をまとめていくつもりである。

フットボールファンだけでなく、旅の大好きな人たちにもぜひ読んでもらいたいなと・・・

ノート旅の記録(日記と手帳)

“プレミアリーグの日程と北から南のクラブを調べる”

旅には準備が必要不可欠。

旅の持ち物、ルート、宿泊先・・・さまざまな準備が必要で、旅の一つの醍醐味である。準備段階が一番おもしろいと言っても過言ではない。

まずこの旅を計画する上で必要になった情報は、2月から4月にかけて開催されるプレミアリーグの日程。

北のクラブから南のクラブへ下っていき、大雑把な行程を組んだ。あとは自分の体力と相談しながら、無理せず旅を進めていけばいいと思っていた。

パッキングパッキング中の様子

“イギリスにおいて、街にクラブがないなんてことはまず当てはまらない”

次に持ち物。旅の持ち物は大袈裟に言えばたった2つだけ。

自転車とバックパックだ。もう一つ付け加えるとすればスマートフォン(地図、カメラ、宿泊先の予約など、全てがこの小さなパソコンで出来る)。

旅はスタイリッシュにすることが一番だと思っている。
余分な荷物、情報は一切いらない。

知っていればいいことはその街にフットボールクラブがあるかどうか。そしてイギリスにおいて、街にクラブがないなんてことはまず当てはまらない。

チャリバックパック持ち物はバックパックと自転車だけ

 “20を超えるスタジアムを訪れ、10試合以上のゲームを観戦”

自転車は日本で購入し、輪行という形で持ち込んだ。輪行というものをこの旅の計画段階で知り、もちろん初体験。家の車庫で出発前に数回、組み立てと解体を繰り返しただけで練習は終了。現地で組み立てられなかったらその時はその時であると、腹をくくった。

バックパックはたしか35Lくらいのものだったはずだ。(ブリストルで出会った友人に譲ってしまったため今は手元にない)。

もちろんバックパックの旅も初体験。

何事も初めてのことに不安を感じてしまいがちだが、その不安をワクワク感というエネルギーに変えられるかどうかが、旅の旨味を最大限に引き出す第一歩と言える。

この旅では20を超えるスタジアムを訪れ、その半分ほどの数の試合を観戦することができた。宿泊先やルートの決定、試合のチケットの購入方法などが気になる人もいるだろう。その都度、紹介していきたい。

チャリ解体初めての輪行。必要なのは「なんとかなる」という気持ち

“出発前日の日本での大雪”

 2月、いよいよ出発だという前日に日本は大雪に見舞われた。飛行機は問題なかったが、空港まで行く手段が限られた。当初、最寄りの駅から空港まではバスが出ていたので、そのバスを利用する予定だったが、バスが大雪の影響で運行中止。

仕方なく、電車で自転車の入った輪行袋とバックパックを持って空港に向かった。旅での予定変更は当たり前。幸先の良いスタートだった。


出国出発直前、成田空港にて

“出国、ドバイへ”

日本に別れを告げ、いよいよ出国である。使用した航空会社はエミレーツ航空。ドバイ経由でヨーロッパの都市どこかを選択できる格安航空券を購入した。

旅行代理店に出向くよりも、インターネットで格安航空券を探して自分自身で購入する方がお財布にはやさしいケースが多い(ただし、ツアーやホテルとのパッケージ販売になっているものは旅行代理店の方が安い場合がある)。

ドバイでのトランジット時間は2時間ほどしかなかったので、ドバイの空港にある免税店をぶらぶらしているだけだった。

ドバイドバイ空港は世界をつなぐ

ドバイはハブ空港になっているので、乗り換えの表示もわかりやすく、旅行者には非常に便利な空港だった印象がある。ただ、一歩外に出るときっと強烈な暑さが、待ち受けていたのであろう。

ドバイ空港ドバイから世界各地へ

“イギリスの空港、ニューカッスルに”

ドバイからニューカッスルへの便はほとんどがイギリス人で、日本人は見当たらなかった。

これまで日本人ばかりの飛行機にしか乗ったことのなかった僕にとっては奇妙な空間だった。無事、5~6時間のフライトを経て、ニューカッスルに到着。

まず、最初の関門は入国審査だ。イギリスの入国審査が特に厳しいことは有名で、入国拒否というのもよくある話。恐る恐る入国審査官の前に立ち、いくつか質問を受ける。

驚いたことに、旅行の目的と滞在期間を聞かれただけですんなりと通してくれた。ヒースロー空港では、入国審査で2~3時間待ちは当たり前と聞いていただけに、拍子抜けしてしまった。

入国審査では、英語ができなくても、自信ありげに質問に答えれば乗り切ることはできる。もちろん笑顔も忘れずに。

ハプニングは荷物の引き取りで起きた。バックパックはすぐにでてきたものの、肝心の自転車がなかなか出てこない。

これがなければイギリスでの旅は始まらない。ロストバゲージも覚悟した最後の最後、本当に最後の一つの荷物が自転車だった。しかも、コンベアーの幅より少し大きかったのか、流れてくる途中で自転車がつっかかり、空港のスタッフに取ってもらった。輪行袋はズタボロの状態だった。

空港の外に出て、自転車を組み立て始める。思ったよりも寒くはない。日本の大雪を前日に経験していたからだろう。地元の人に変な目で見られながらも、練習が奏功し、パニックになることなく自転車は完成した。

ニューカッスル空港ニューカッスル空港前

空港からニューカッスルまでの道のりはGoogle Mapで検索したものをスマートフォンの画像フォルダに入れておいたので、それを見ながら、イギリスでの第一歩、いや、一漕ぎ目。空港を少し出ると、そこにはこれぞイギリスという田園風景が広がり、家もレンガ造りで可愛らしい。思わず叫んでしまいそうな道がひたすら続く。

牧場ニューカッスル空港近くの牧場

街中に入っていくにつれ、車や人の数も増えていく。そしてとうとう、この旅、最初のスタジアムに辿り着く。

stジェームズセント・ジェームズ・パークに到着

セント・ジェームズ・パークだ。街の中心部にあるスタジアムは珍しく、このスタジアムは中心部から歩いて5分ほどのところだ。急な丘の上に聳え立ち、いかにも要塞といった雰囲気を持つスタジアムである。

その10分後、(幸運にも)自転車を押しているときに前輪が外れた時はかなり焦ったが無事自転車での旅が始まった・・・もう少し組み立ての練習はしておいたほうが良かったかもしれない。

次回は、セント・ジェームズ・パークでの観戦記、ニューカッスルの街の様子を紹介する。

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次回は、12月末更新予定です。

本場イギリスで学ぶサッカー留学プログラム

FOOTBALLATUKバナー

イングランドの下部リーグでサッカー選手として暮らしてみる!Part3

イギリスにて「サッカー選手として生活すること」(しかもGKとして)を目標にして、2年間のワーキングホリデーの間にイングランドの7部と8部でプレーした玉井リョウさん。

2015年の冬の移籍で、クリスタル・パレスがFWケシ・アンダーソン(19)選手のシンデレラストーリーで話題になったイングランド8部リーグ。サザンリーグ・ディビジョン1・セントラル(8部相当)のバートン・ローバーズからの移籍でした。

リョウさんがワーホリの期間である二年間で実際に体験したフットボールの下部リーグとはどんなものであったのでしょうか?(全3回)

第1回はこちら(ガムシャラに挑んだチーム探し)
第2回はこちら(イギリスと日本サッカーの違い)

さて、今回が最終回です。

•ピッチ上で実際に使っていた英語

•はたして1ヶ月の給与はどれくらいだったの?

そしてリョウさんが、2年間のイギリス生活を振り返っています。

プレーするためには英語はどれくらい必要か?

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チームメートと会長

英語に関しては事前に準備しておくにこしたことはありません。

渡英前は外人の話す英語はほぼ100%何言っているかわからない状態で、英文法と単語帳をそれぞれ握りしめて出発しました。

必要な英語力を鍛えるために勉強方法

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まずイギリスに到着した翌日から2ヶ月ほど、語学学校に通いました。
読み書き、会話など、だいたいのことがカバーしている授業内容でした。

授業料も比較的安く(1ヶ月15万円くらい)、学校で仲良くなった友達とカフェなどで会話できるチャンスが増えてよかったなぁと思います。キングスクロスに位置しており、移動が便利でした。

約3年前の話なので色々変わっていることもあるかと思うので、気になる方はウェブサイトでチェックしてみてください。

語学学校のマルバーンハウスMalvern House 
→ http://www.malvernhouse.com/


とにかく英語を実践、あとは慣れる!

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チームメートのアンソニー

自分からイギリス人や外国人のコミュニティーに出向き、強制的に英語を話さなければいけない環境に身を投じることで自然と英語力はついてきました。

例えば、、、

外国人とのシェアハウスに住む、
友達に誘われたパーティーをなるべく断らない、
ジムや図書館のメンバー会員手続きをしたり、
カフェに行って店員と話したり、

そして、僕の場合は特にサッカークラブに属していた事が大きかったです。

そこではまさに学校では教えてくれないような言葉や表現をチームメイトを通して学び、間違いなく一番英語が身に着いた場所でした。 

こういっちゃ悪いかもしれないが、サッカー選手は汚い言葉が大好きでした!

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ここからは実際にサッカーの現場やピッチ上でよく使われている英語を紹介します。

実際に体験して使っていた英語で、この言葉単体だけでも使えると思います。

ピッチ上や普段のコミュニケーションでも無理に文章にしようとして言葉に詰まるよりも、シンプル、短く、を心がけえていました!

攻撃のときに使うサッカー英語  (まぢで使えます!)

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Shoot! (シューッ!)
シュート打て

Finish! (フィニッシュ!)
シュート打て

Bang it! (バニッ!!)
シュート打て 

Deliver! (デリヴァー!)
(サイドでボール持ってる味方に対して)
センタリングしろ、クロス上げろ

And again! (アン  アゲッ!)
ワン・ツー (これを言わないと“ツー”は返ってきません。。。)

Time!

フリーだぞ(You have time=お前には時間がある、の略) 

Man on! Behind you! (マノーン、ビハイドゥー)
真後ろからきてるぞ(日本でもお馴染み、発音もマノーン) 

Left,Right shoulder! (レフト、ライト、ショルダー)
左、右後ろ(にいるぞ)から来てるぞ
→相手の位置をより正確に味方に伝えられ、日本では使われていない便利な表現です

 Line! (ライン)
縦!

Square!  (スクウェア)
横!

Set! (セット)
おとせ (日本だと“チョン”とも言いますね) 

Leave it! (リーヴィッ!)    
触るな、見逃せ
(ラインを割りそうなボールや、スルーしてほしい時に)

守備のときに使うサッカー英語  (まぢで使えます!)

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Keepers!
キーパー“ズ” です

Go! Pressure! 
寄せろ

Watch him!
あいつをみろ(少し間合いを置いて)

Pick him! (ピックヒム)
あいつにつけ(マークを見失ってたり、誰をマークするか曖昧な時)

Stand on him! (スタンド オンヒム)
あいつにつけ(ぴったりと)

Header! (ヘダー)
ヘディングしろ

Away! (アウェイ)
クリアしろ

Hook it! (フッキッ)
ひっかけて蹴れ
(後ろ向きでボールを追いかけている時に、背後やゴール方向に向かってラインを割らないように蹴ること)
→これも日本では無い表現ですね。

クリアはaway でhookは残せ、みたいな感じ。

Get out! (ゲッラウ)
ライン上げろ(ゴール前からクリアした直後に、キーパーがよく使います)

Squeeze up! (スクィーズ アップ)
ライン押し上げろ(ボールに対してコンパクトに寄せるイメージ)


その他のサッカーの場で使える英語

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Come on boys! (カモーン ボーイズ)
いくぞ!

(鼓舞する意味で。boysのところをGuysや Ladsなどにも言い変えます)これ良く使います。

Hand ball (ハンボー)
ハンド(ちょっとしたことでも審判にこれを言ってアピールしています。)

Booking (ブッキン)
イエローカード、警告

Sent off (セント オフ)
レッドカード、退場


はたして選手として給料は、どんなものであったのか?

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サッカーで海外にチャレンジする人にとって、どれくらい給料をもらえるかは気になる部分であると思います。

僕の経験した範囲内(イギリス7部、8部)ではありますがお伝えしましょう。

まず給料をもらえていた期間はシーズン中のみ。

なので6月~8月のオフシーズンからプレシーズンにかけては給料が貰えません。基本的に給料は試合の日に試合給として支払われ、固定給はありませんでした。

シーズン初めにサインしたのは、17名の登録メンバー入りで£40

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試合終了後に監督が封筒に入れたものを手渡し(放り投げて)でくれます。

出場の有無に関係なく17名の登録メンバーに入れば貰え、金額はシーズン初めにサインした額が£40でした。

ただし開幕戦やカップ戦の決勝や昇格のかかった試合、またフレンドリーマッチ等の試合の種類によって金額も上下しますし、さらに試合で活躍したり、僕はないですがゴールを決めたらそれもまた貰える額が変わってきます。

1ヶ月で4万円也。ロンドンでの1人暮らしには足りず

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シーズン中はほぼ毎週土曜に試合があり火曜日もたまにあるので、月6回給料をもらえる日があるとすると1か月で£240、£1を¥170とすると平均して¥40,800貰っていました。

しかし、ロンドンで一人で生活するにはこれでは足りないので、午前中や練習の無い日は日本にいた時の知人に紹介してもらった日本食レストランのキッチンでアルバイトをしながら生計を立てていました。

チームメイトの中には核となる選手が2~3人いて、その選手たちは他の選手とは違う契約でより多くの給料をもらっていました。

もっと実力のある選手はビザの制限がかからないディヴィジョンぎりぎりまでチャレンジできる可能性はあると思います。。

(ただし、日本人がプロクラブに入るには代表経験等が無ければならないという遥かなる壁のビザ問題に関わってきます)

おわりに

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この記事の一番最初にも書いたとおり、渡英当時の目標である「サッカーで食っていくこと」は結局達成できませんでした。

しかしながら日本ではプロになれなかった自分が、

クラブと契約し、
サッカーの本場で選手として少ないながらも給料をもらい、
2年目でカテゴリーのスッテプアップ、
そして試合にも多く出場できたこと、

それらは今後への大きな自信になりました。

J3入りを目指す広島のクラブ(廿日市FC)で現役続行

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幸運にも知り合いの方の紹介をきっかけに、今でも現役で広島でJリーグ入りを目指しているクラブでサッカーを続けています。クラブ発展への手助けができればと目標を切り替え頑張っています。

イギリスで体感したことは、今でもよく覚えています。

芝生のピッチ、

まるでラグビーのようにぶつかり合う魂のこもったサッカー、

ストレートな感情表現、

観客との距離、

木製のスタンド、

試合後のビール。

これらのフットボールの雰囲気と経験を少しでも伝え、イギリスのサッカーや暮らしに興味を持ってもらえれば嬉しいかぎりです。

また、実際に留学を考えている方へは出発前に現地の様子を知る情報として活用いただければと思います。

それでは、また! 玉井リョウヘイ

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編集後記

リョウさんとはロンドンで定期的に会い、地元のセミプロクラブでプレーする彼の話を興味深く聞いていました。

サッカーの友達が増えるごとに、彼の英語も上手になっているなと感じると同時に、「おれももっとやんなきゃ!がむしゃら!」と刺激を受けていました。

アルバイトで汗を流しながらトレーニングに向かい、日本人が誰もいない日曜日の勝負の世界に挑む時間は、必ず今の地でいきるであろうと思います。

海外で学んだことを日本のサッカーに還元するって、そんな簡単な話ではないですが、彼のように自主的に動きづつけ、壁を登り続ける人が増えることが日本サッカーの発展に必ず繋がると信じてやまないっす!

第1回はこちら(ガムシャラに挑んだチーム探し)
第2回はこちら(イギリスと日本サッカーの違い)

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