皆さんは、イングランドのプロクラブで、スカウトとして働くためには資格が必要であるとご存知でしょうか?
イングランドサッカー協会(FA)では、コーチングライセンスだけではなく、様々なライセンス講習会を開催しています。その中の一つにTalent Identification(以下、Talent ID)というスカウティングに特化したコースがあり、プレミアリーグをはじめとしたプロリーグのチームでスカウトとして活動するためにはこのライセンスが必須となります。
Talent IDはlevel 1からlevel 5までの5段階となっており、level 1はオンライン上で誰でも受講することができるようになっています。もちろん、日本国内からでも受講可能です。
今回は、実際にlevel 1を受講した私が、その内容に関して紹介します!
まず、このコースを受講するためには、The FA(イングランドサッカー協会)のサイト(http://www.thefa.com/)のホームページでアカウントを作成し、FANナンバーを取得する必要があります。FANナンバーさえ取得すれば、すべてオンラインでの受講となるため、日本からでもlevel 1のライセンスが取得できてしまいます!
Talent ID level 1は大きく分けて6つの項目に分かれております。
Module 1 スカウトの役割と責任。
Module 2 スカウティングの方法とルール
Module 3 スカウティングの手順
Module 4 4 corner modelとスカウティング
Module 5 様々な種類の年齢
Module 6 試合で考えること+まとめ
ここからは、私がこのコースを通して特に印象に残った点をご紹介します。
スカウトとしての自覚を持ち、行動する心構え
スカウティングというと最初に思い浮かぶのは、「どのように選手の能力を見抜くのか」などかと思いますが、それと同時にスカウトの心構えや振る舞い方に関しても学習します。
例えば、特定の選手のプレーを見学しに試合に訪れた際、まずはホームチームの関係者に自分の所属等のプロフィールを提示することや、保護者に「誰を見に来たのか」聞かれた時の対応の仕方なども学ぶことができます。
スカウトされるチームや選手のこともリスペクトすることがスカウトとして欠かせない要素になります。
スカウティングのルール
実は、FAが選手のスカウティングに関するルールを細かく定めています。
Level 1では初歩的なルールをいくつか学ぶだけにとどまりましたが、今後スカウトとして活動するためにはこのルールを熟知していなければなりません。ルール違反をした際は、自分のみならず、所属するクラブにも処罰が適用されることがあるそうです。
コーチングについて
このコースは、将来スカウトとして活動したい人のみならず、多くのコーチたちが受講をしているそうです。そういった状況を踏まえ、Module 6では、どのように子どもたちを指導すべきなのかを、スカウティングに絡めながら学習することになります。
具体的には、理想的にはすべての選手が試合に出場して自分の能力を伸ばすことですが、実際には選手の能力差などの理由から試合時間を均等に確保できないこともあります。そのようなことを考慮しながら、スカウトは選手を観察しなければいけません。
ここまで、非常に大枠ですが、Talent ID level 1について紹介させていただきました。すべての内容を完了するのに約2時間ほどかかりました。
日本サッカー協会では、スカウト専用のコースはまだ設置されていないので、将来スカウトになりたい人にとっては、サッカーの本場イングランドでスカウティングについて学ぶことができる貴重な場です。
また、level 2以降はより本格的な内容となるようですので、将来育成年代のスタッフや分析に興味のある方にも打って付けのコースです!