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Jリーグ監督も取得しているFAインターナショナルライセンスとは?PART3

Jリーグ監督や世界各地のプロコーチも取得している、 FAインターナショナルコーチングライセンスを知っていますか?

FAコーチングライセンスは、本マガジンでも紹介しましたが、インターナショナルという名がつくライセンス講習では、いったいどのような内容でコーチング講習が行われているのでしょうか?

昨年の夏、サッカーの母国でインターナショナルライセンス取得をした植野トオルさんにFAインターナショナルコーチングライセンスについて詳しく綴ってもらいました。

自身の経験をもとに書いてくれたシリーズも今回で最終回です。

第1回はこちらから → インターナショナルコーチングライセンスとは?

第2回はこちらから → FAレベル2の内容はむずかしい

講習はLEVEL2からUEFA B ライセンスの内容へ

FA LEVEL2の内容終了後はUEFA Bライセンスの内容を学びます。

インター3 1

LEVEL 2とUEFA Bライセンスの講習での内容の大きな違いは以下の2点。

・5vs5から8vs8以上へと指導の対象人数の変更
・基本技術指導中心からより戦術・実践的な指導

インター3 2見にくいですが、目次です。より細かい内容でポジションや様々な状況をイメージしてテーマが作られています。

講習でのスケジュールは大きな変化もなく、この目次の中からいくつかテーマが絞られ、受講生が選手役となり、インストラクターの指導を学びます。

インター3 3GKセッションでの一場面

GKセッションでは
1)クロスへの対応、
2)クロスからの攻撃を中心としたファンクショントレーニングを行いました。このファンクショントレーニングがLEVEL 2との大きな違いです。

僕自身、GK経験者なものでこのセッションはメインでやらせてもらいましたがやはり褒めるポイントがうまい!

ミスをした選手がいても、そこから凹ませずに、プレーヤーをのせるのが上手でした!なので気持ちを切り替えてまた次にチャレンジしよう!と、どんどん意欲が湧いていきます。

どのような声を掛けて選手たちのやる気を伸ばしていくかは、本当に学ぶべき点のひとつです!

インター3 4後半の講習ではフルピッチサイズを完備した室内練習場で全て行いました。人工芝は最高でした。イギリス特有の天候にも左右されず、思いっきりプレーできます。

4日間、講義→実技→講義→実技、を繰り返し、一通りのテーマを学びます。

本来のUEFA Bライセンス講習では半年かけて学んでいくものを一気に駆け抜けていきますので、本来の講習よりも広く浅い内容になってしまうかとは思います。

ですが、インスタラクターは丁寧に僕らの質問にも答えてくれますし、何よりも短期間でこのレベルの内容を学べる機会ということが、このライセンスの最大のメリットだとおもいます。

インター3 5

リフレッシュは地元ユースチーム施設見学、チャンピオンシップ、U21プレミアリーグ観戦など

リフレッシュも含めて中日には、
午前:Wolves Academy 施設見学をしました。ウルブスは、ユース育成で定評があります。
午後:Birmingham City FC vs Sheffield Wednesday FC    チャンピオンシップ観戦。プレミアリーグの一つ下のディビジョンで二部のゲームです。

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インター3 8上の写真の選手、ご存知でしょうか?アイルランド出身の?そう、ロビーキーンです。

インター3 6

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インター3 102部とは思えない、素晴らしいスタジアムと筆者。ちなみに今はすっきり、短髪です。

夜には、U21プレミアリーグ観戦し、その後は分析しました。

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これだけ過密ですと、もはやリフレッシュとは言えないかもしれませんが。。

ただ、このようなプランが用意されているのは、このライセンス講習の大きなメリットではないかと思います。

イギリスのフットボールの奥の部分まで触れることのできる機会というものはなかなかないですからね!

さて、U21プレミアリーグ観戦中は下のシートを使って選手を分析です。

インター3 11

それを元に試合後には受講生同士でディスカス!

どの選手のどのような動きがあって試合が動いたのか。どのようなプレーが多く、何が試合を動かす要因になったのか、などなど。

監督として、選手のプレーを分析し、次の試合に向けてどのようなトレーニングを行なっていくか。この能力は非常に重要です。

それを国が違う指導者と話すことができたのは非常に有意義な時間でした。

ファイナルアセスメント(最終試験)

翌日、残りのテーマを学んだ後、ついに最終実技試験のテーマが与えられます。

この試験は前回と違い30分間で、
1)セッションの説明、2)セッション、3)フィードバックを行います。

そしてさらに大きな違いは、選手役が僕ら受講生ではなく、実際にプロを目指す選手達を指導します。

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選手たちは、U17でナイキアカデミーの候補生。20名ほどがこの施設に1ヶ月ほど滞在し、ナイキアカデミーの選手となるためのセレクションを受ける一環で僕らの受講生役を引き受けてくれていました。

そして僕に与えられたセッションは

“Coach a team to Attack down the flanks”

簡単にいうと、”サイドからの攻撃”です。

受講生の中には同じテーマを行う人もいたので、協力してプランを考えている人もいましたが、僕のテーマは一人。

そして、このテーマはそれまでやっていません!

教科書を広げ、近いセッションを参考に自分で指導ポイント、セッションの人数や形式等を一晩で決める必要がありました。

自分一人だけの考えでは見落としてしまっているところもあるかと思い、受講生や知り合いのコーチにも意見を求めながら、なんとかできあがってものがこちら。

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左のページまでが僕のセッションプランです。相変わらず見にくくて申し訳ないですが

いざ、最終試験!!

その場で初めて会う選手たちに指導をする。しかも英語で。

こんなに緊張し、プレッシャーのかかった試験は今までに体験したことはありませんでした。当日の朝、セッションの順番が決まります。

今回の試験は一人ずつでセッション時間が長いことと、プレーヤーの疲れも考慮し、2日間に分けて行うことは事前に決まっていました。

そして順番を確認すると、、、

まさかの2日目組へ。

緊張して寝れなかった時間を返して欲しかったです。
ということで、ファイナル1日目は他の人のセッションを学ぶことに!

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さすが、ナイキアカデミー候補生だけあり、レベルが高く、彼らもこのチャンスを逃すまい!と真剣に取り組んでいました。

そんな中、上から偉そうに見ていたら、

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若いし、でかいんだから、一緒にやりなさい!ということになり、疲れてきている選手たちと交代でセッションに参加することに。。。

思いっきり、楽しんでプレーしました!

U17といえども、たしかな技術と、そして何よりもスピード・パワーには驚きました!練習ですが、彼らにとってはアピールする真剣の場、手を抜くことのない本気の中に久しぶりに入ることができ、フットボールの楽しさを再確認できました!

スクリーンショット 2014-12-31 9.45.38練習に参加していると、ちゃっかり次の年のパンフに載ってました。

そして、迎えた2日目。

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出番直前の緊張している姿を撮られていました。
さぁ、いざ開始!!!

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撮られていることなんて忘れるくらい必死でした!

ファイナルではそれぞれのセッションを全て録画し、DVD にしてくれます。そして、セッション後にはすぐに手元へやってくるスピード感。正直にいうと、自分の指導を客観的に見るのは恥ずかしいです。しかも英語で。。。

ですが、そんなことを気にしていたら何にも始まりません!
思い切り、楽しむのみ!!!

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ですが、途中でパプニング。指導チームのFW の一人が英語がわからなーい。フランス語しか理解できない模様。

上の写真は違う選手に英語をフランス語に通訳してもらっているところがたまたま写っています。

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その後はなんとか、無事にセッションは終了!

正直、LEVEL 2の時ほどの手応えもなく、自分でももっとやれた。と感じました。セッション後は、全員で記念撮影!

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その夜、担当してもらったインストラクターとセッションのフィードバック。その評価シートがこちら。

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やはり、全てはパスできていませんでした。

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残念ながら、UEFA Aライセンスを受講するチャンスを得れる推薦資格を取ることはできませんでしたが、この講義を通じて本当に多くのことを学ぶことができました。

インター3 19名前がToroになってますが、Toruです。 

インストラクターからのアドバイスとしては「自分のDVDを見て、また勉強しよう。勉強して、成長して、選手たちにもっとよい指導ができるように、努力を続けよう。」と言葉をいただきました。

まさしく、その通りでライセンスを取ったから終わりではないのです。

うまくいかなかったこと、いったことを含めてこの先、僕が指導する選手達に還元するための講習です!

前向きに捉え、この先も勉強あるのみ!

閉講式はスーツにて

フィードバックが終わった後は、それまでのジャージ姿からは一転、スーツに着替えて閉講式です。

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Tonyの挨拶後、これまでを振り返るスライドショーが流れます。

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そしてライセンス授与!

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無事にライセンス、取得できました!!!
その後は僕ら受講生からインストラクターへのお礼のプレゼント!サプライズで用意していました!

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英語力では劣っていましたが、存在感でなんとかなったのか、なぜか代表してプレゼントを渡す係りの一員に!僕にとってもサプライズでした。

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最後はみんなで楽しくこれまでを振り返りながら食事。

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 インターナショナルライセンスを受講して

今回、このように記事にしていくときには16日間のことはすごく長く感じました。

ですが、実際には本当にあっという間に1日1日が過ぎていき、時間の感覚がなくなるほど、忙しく、それだけ充実していたのだと思います。

英語力はもちろん、世界各国のフットボールに対する意見が学べ、母国イギリスの素晴らしい施設でフットボールのことだけを考えて生活できる日々。

そして何よりも、ここでは指導法だけでなく、人種や国境を超えて多くの人と関わることのできるスポーツの魅力・素晴らしさを学びました。

国に戻ってしまえば、なかなか会うことは難しいですが、いつか、またどこかで、出会った人達とフットボールの話をすることができたら最高です。

インタ

全3回、かなり長い記事になってしまいましたが、それだけ充実した内容であったということでご容赦ください。

まだまだ、書ききれていないこともたくさんあります!興味のある方は、コメント頂ければお答えします。

長々と、ここまで読んでくださり、ありがとうございました!

TORU

本マガジンFootball@UKは、イギリスサッカー留学(選手、コーチ資格、語学留学、大学進学)の現地サポートをロンドンより行っています。

Webマガジンや留学に関するお問い合わせなどは、下記リンクよりお問い合わせくださいませ!

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年末が一番楽しい!Jリーグコーチとゆくプレミアリーグ観戦

英国プレミアリーグをシーズン中に一番堪能できるのは、どのタイミングであるかご存知だろうか?

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答えは、ボクシングデーと言われるクリスマス翌日の12月26日からはじまるプレミアリーグの大連戦!

ロンドンからこんにちは、Football@uk編集長の竹山トモです。

Jリーグの徳島ヴォルティスでヘッドコーチを務めている長島氏は、オフの期間を利用しながら、ヨーロッパの国々やイギリス•ロンドンに滞在しながらフットボールの旅を毎シーズン堪能されている。(なんと9年連続で渡欧)

今年は、FA代理人の宮原氏やQPRスタッフに協力をあおぎながら、アーセナルスタジアムツアー、プレミアリーグのアーセナル-QPR戦、QPRのトップチーム練習見学などをFootball@UKマガジンメンバーにて旅+研修をコーディネートさせていただいた。

イギリスサッカー留学やプレミアリーグ観戦、スタジアムツアーなど、きっと役に立つ情報が満載。写真を中心に振り返ってみましょう。

シーズンオフを利用したイギリスフットボールを探求する旅は5年目に突入

IMG_1096 QPRのトップチームの練習模様(写真はハリー•レドナップ監督)

長島コーチのフットボールの旅は、2006年のS級海外研修をきっかけに毎年シーズンオフおこなっており、今回で9回目を迎える。(イギリスは5回目)

スペインやポルトガルのクラブチームにて一週間ほどコーチング研修を行い、その後12月末のプレミアリーグの試合観戦が主なコースとなっている。

これまで英国の滞在では、マンチェスターユナイテッド、マンチェスターシティ、チェルシー、アーセナルなどのプレミア観戦。

また歴史的なスタジアムやFAが創立された少しマニアックなパブ案内などのフットボール三昧のスケジュールである。

2014年は、プレミアリーグ観戦や2部リーグのチームの練習視察(QPR、ブレントフォードの2チーム)をおこなった。

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元イングランド代表のレス•ファーディナンド氏がロンドン郊外にあるQPR練習場を案内してくれた。

プレミアリーグのクラブはトレーニング場へは関係者以外ほとんど立ち入りできないが、今回はQPRアカデミースタッフの協力のもとに特別に見学を許可していただいた。

現在QPRは、インペリアルカレッジという大学からトレーニング施設をレンタルしており、数年以内にスタジアムと練習場の移設を予定しているようだ。

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他国のリーグは休暇に入るなか、イギリス国内リーグはクリスマス期間と年明けの時期も2週間で5試合ほど過密日程で行われる。

今シーズンは、12月22日、12月26日、28日、1月1日、1月4日の試合日程となっている。(信じられないハードさ)

選手やスタッフにとっては正念場の時期であるが、ファンにとっては世界最高レベルのゲームを堪能するには申し分ないスケジュールでもある。

IMG_1099QPR監督のハリーレドナップ監督とFA代理人の宮原氏

世界最高峰のスタジアムでのホスピタリティを体感できるアーセナルスタジアムツアーは必見

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試合がない日は、スタジアムツアーなどを訪問し、イギリスフットボール文化を感じるとることができる。

大人は入場料が£18(約3500円)と決してお安い値段ではないが、サッカー好きならばロンドン観光のスケジュールの中にぜひとも組み込んでほしい。

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日本語のオーディオガイドを借りると、より一層楽しむことができる。

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スタジアムの中段は、クラブレベルと呼ばれているスポンサーやチーム関係者、シーズンチケットを持つファンの富裕層などが利用しているVIPゾーンである。ベンゲル監督は試合前にここへ足を運び、気持ちを落ち着かせてからゲームに挑んでいる。

IMG_1011ピッチを眺めつつ、これから行われる試合をイメージしながらスタジアム内で食事をするとは、なんとも贅沢なひととき。

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食事テーブルもアーセナル仕様でクール。

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ベンゲル像がお出迎え

IMG_1013席は革張りでクッションがあり、座り心地は最高

 

更衣室を訪れ、試合前のアーセナル選手の心境を感じる

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 U字型に設計された更衣室の形はベンゲルの構想によるもので、試合前に選手たちの一体感を生み出す工夫がなされている。わたくし、たけやまもいつ呼ばれてもいいように準備ととのっております。

IMG_1040ボード、テレビ、監督が座る位置などが綿密に計算されている。

IMG_1039長島監督就任

 

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ピッチでは、芝の養成のために人口のライトが照らされて、次の試合に向けてグランドキーパーが丁寧な仕事をおこなっている。芝生の長さは、2,2センチ。

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選手の体のケアは、シーズンの結果に直結している。
壁にかかる人体の絵は、おそらく選手が自分の体のことを勉強してもらうためであろう。ベンゲルが就任してまずはじめたことはスタジアムにあった試合後に選手が利用するバーを閉鎖したことであったようだ。

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ピッチ脇によって指示をだす。が、迫力がまったく足りない。

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長島コーチの笑顔をひきだすインタビュー。気になるその質問内容とは….

 

スタジアム脇にあるミュージアムではアーセナルの歴史を体験

IMG_1069ベンゲルもすごいけれどチャップマンこそがアーセナルの伝説だなぁと、長島コーチの感慨深いコメント。

IMG_1068チャップマンは、WMシステムを開発、ユニフォームに背番号をいれたり、ナイターで試合をしたりと型破りのことをいくつも実践したチャップマン監督。 

ツアー後はスタジアム内のメガストアでおみやげを購入

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日本では販売していないグッズやジャージも手に入れることができるメガストア!

クリスマス翌日、チェルシーからアーセナルのはしごプレミア観戦!

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お昼からチェルシー対ウェストハムを観戦

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今シーズンのチェルシーの安定ぶりは、群を抜いている。

ゴール前でのアザールの切り返しの深さとキレは別格、ディエゴコスタのボールがないときの動きも想像以上であったと長島コーチ。

試合後の夕食の際にも詳しく話を聞いたが、
「チームとして連動しつつ、ぜったいに負けない守備組織を作り上げ、攻撃では個の良さを存分に引き出しているモウリーニョの手腕」に感銘を受けていた。

試合後は、地下鉄に乗りアーセナル-QPR戦へ

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前日にQPR練習見学しているために、QPRに肩入れしつつもゲームは序盤からアーセナルに圧倒される。特にサンチェスの動きは、異質の輝きを放っていた。アーセナルよりもチェルシーの方が手堅さが印象に残っている。

 

-今回の旅を終えて-

長島コーチは日本サッカーの第一線で活躍しながらも(FC東京、山形、徳島などでトップチームコーチ)、オフシーズンは個人としてヨーロッパサッカーの現在と実直に向き合いつづけている。

日本のスタイル確立も必要だが、欧州トップリーグには資金、人材が集まり次世代のフットボールが生み出されていることは事実であると思う。

もちろん、オフなので観光もするし、趣味に近い旅でもある。しかし、旅をお供していて毎年思うことであるが、趣味への没頭ぶりが他の人よりも圧倒的だなぁ。と長島コーチと話していて感じる。

「努力は趣味に勝てないんだよね」とさらっと言った言葉は、すべてのサッカ
ー人の励みになる。来年は、FAコーチングライセンスに挑戦しようというお話も。楽しみにお待ちしております。

2014年12月30日

イギリスサッカー研修、留学の問い合わせ可能
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Jリーグ監督も取得しているFAインターナショナルライセンスとは?PART2

Jリーグ監督や世界各地のプロコーチも取得している、 FAインターナショナルコーチングライセンスを知っていますか?

FAコーチングライセンスは、本マガジンでも紹介しましたが、インターナショナルという名がつくライセンス講習では、いったいどのような内容でコーチング講習が行われているのでしょうか?

昨年の夏、サッカーの母国でインターナショナルライセンス取得をした植野トオルさんにFAインターナショナルコーチングライセンスについて詳しく綴ってもらいました。

第1回はこちらから → インターナショナルコーチングライセンスとは?

Jリーグ監督も取得しているFAインターナショナルライセンスとは?PART2

inter part 2-3

こんにちは、トオルです!FAインターナショナルライセンスとは?PART2です!PART2では、講習の前半(2日目〜7日目)に学んだ内容について書いていきたいと思います。

FAインターナショナルコーチングライセンスの講習の流れと内容

最初の1週間は主にFA Level 2の内容を学びます。

通常のLevel 2は取得に半年程かかりますが、このコースでは1週間でほぼ同じ内容を一気に行います!今回は、その一週間で僕自身が感じたことを中心に紹介します。

inter part 2-2

スケジュールはこんな感じでした。

08:30 -11:00  講義

11:15 -12:45 実技

14:00 -15:30 講義

15:45 -17:15 実技

19:30 -21:00 講義

ぎっしりです!
講義、実技、講義、実技の繰り返しです。

inter part 2-5

主な内容としては…

•ボールコントロール(ターンやトラップ)
•パス、ドリブルなどの基本技術習得
•オフェンス時のサポートに関するトレーニング
•数的不利な状況でのディフェンス
•ゴールキーピング
•フィニッシュまでのトレーニング などなど。

IMG_1854講義の様子

コースの流れは、1 ) 講義の時間にそれぞれのセッションに関する重要なポイントを学び、2 )その後の実技で僕ら受講生が選手役となり 3)インストラクターのセッションを受ける、といったものでした。

日本の指導者講習会との違いは【コミュニケーションの取り方】

1週間目に学ぶ内容は日本でC級ライセンスを取得した時と似ているものが多く、正直それほど難しいとは感じませんでした。

ただ、日本との大きな違いとしては感じたものは”コミュニケーションの取り方”です。

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インストラクター主導でセッションが進むわけではなく、選手たちに質問を投げかけ、その返答と会話のやりとりをうまく使いながらテーマの重要な部分に迫っていきました。

「はいorいいえ」だけのクローズド(閉じた)会話方法ではなく、オープンクエッションを多く使い(5w1h=when where who what why how)、答えの幅をたもっていました。

また、キーワードをボード書き込むなど、視覚をうまく使いトレーニング全体のイメージをしっかりと掴ませていました。

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トレーニング中の声掛けがとにかくポジティブ

講師の方がデモンストレーションを見せてくれるのですが、選手たちのモチベーションを上げることが非常に上手だなぁと、選手役をしているときに感じました。

単純に褒めるのではなく、選手が行った細かいプレーの良いところをしっかりと見ている声掛けなので、プレーする側としては”ちゃんと見ていてくれている、よしもっと頑張ろう!”となることが多かったです。

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あくまで個人的な意見ですが、日本では選手の技術を伸ばそうとするあまりに、良い部分にはあまり触れずに改善すべき点ばかりにフォーカスをあてるという指導が多い気がします。

実際、僕もそのような指導が多かったのではないかと振り返るとそう思います。

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まずはディスカッションをしてから講義

ディスカス!ディスカス!

講義では受講者同士でのディスカッションがとても多かった!なにをする上でも、まずはディスカッションをしてから、というパターンで講義は進んでいきます。

受講生の多くはしっかりと自分の意見を持っていて、それをきちっと伝える力がありました。意見を出し合うことで、ディスカッションは非常に盛り上がります。残念ながらこのあたりの能力は、僕も含め日本人には足りていない力ですし、海外で戦うために必要不可欠の能力であると感じました。

実技試験(FA LEVEL 2)

6日目にはそれまで学んできたことを今度は僕らが実際に指導する実技試験があります!

試験前日にテーマとグループを発表され、それから同じセッションの仲間とプランを考えます!

inter part2-13講習で使うノート!講義の内容を書き留めたり、実技試験のためのセッションプランを書いたりします。

この試験では、2人or3人と協力しながら、一つのセッションを行う形式で”Training 1″ ,” Training 2″ , “Small side game”の3つを行います。

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僕たちのグループに与えられたテーマは”Develop Finishing”。

パプアニューギニア出身のTaku、フィリピン出身のAkiと一緒にセッションをやりました。

実際に立てたセッションプラン(練習メニュー)の概要はこんな感じです!(字が汚いのと見にくいのはご了承ください。。。)

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自分の担当は”Small side game”=スモールサイドゲームといい、いわゆるミニゲームです。(以下”SSG”と省略させてもらいます。)

SSGの前に”Training 1″ ,” Training 2″があって僕の番になるので、それまでのセッションの中で何を中心に指導し、どのようなものをトレーニングに求めていくか、を他の二人と意見を織り交ぜながらプランを作る必要がありました。

ですがここで色々と問題が…

一緒のグループになった二人は非常にのんびりした性格で、夕食後に集まってプランを練るはずがなかなか時間に来ない。。

気になって部屋に行くと、なんとプレミアリーグを観ている!!

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aki1枚目がTaku、2枚目がAki

仕方ないので僕も一緒に観戦しながら、ちょいちょいプランの話を進めていきました。

最終的には僕がおおまかな全体プランを決め、あとはぞれぞれコーチングポイントを共有してセッションを考えることでミーティングは終了。

inter part2-16上の写真が実際に僕らが立てたプランの詳細

そして、いざ実技試験へ!!!

僕らのテーマが”Develop Finishing”ということでセッションの順番は最後でした。

このセッションは指導を受けない受講生、インストラクターがプレーします。ですが、またここで問題が。。。

それまでいくつものセッションを終えてきているため皆、相当お疲れモード。動きにキレがなくなっていました。

でも、指導ポイントやプレーの質にはこだわらなければいけません!

なので、プレーヤーのモチベーションをいかに上げつつ行うか、が大きなポイントでした。

英語があまり得意でない僕には技術指導よりも難しい課題でしたが、僕のSSGは非常に盛り上がり、僕らの指導をチェックしていたインストラクターには”Well done!”とお褒めの言葉を頂けました。

実際の評価シートはこんな感じ。(チェックが入っている項目はパスしたということです。)

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inter part2-18少し見にくいかもしれませんが全てパスしました!

プレミアリーグのユースとトップの試合見学

7日目はプレミアリーグに所属する”Aston Villa”のトレーニング施設とユースの試合見学、そしてホームスタジアムにてリーグ戦の観戦というプランでした!

“Aston Villa”この日は朝からバスに乗り、Aston Villaのトレーニング施設へ!

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これは、
スタジアムではなく練習場です

午前中はユースが併設されているグラウンドにてリーグ戦を行っているので見学。プレミアリーグの下部組織だけあり、レベルが非常に高い試合でした!

そんな中、驚いたのはこれ!

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トイレの男性の足がボールの上に!
さすが、フットボールの母国!

inter part2-20現在イングランド代表のセンターバック、CAHILL選手のユニフォーム!

彼はAston Villaの下部組織出身のため、実際に着たものを寄付されたそうです。

このようなユニフォームはグラウンドに出るまでの廊下にたくさん展示してあり、トッププロを目指す下部組織の選手たちのモチベーションをあげるためのものだそうです。

そして、午後はスタジアムに移動!

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そしてプレミアリーグ観戦!!!

この日のカードは”Aston Villa vs Newcastle “

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僕ら、受講生は当然Aston Villa 側の席でしたが、なんとメインのインストラクターのTonyはNewcastle 出身のため、一人だけアウェー席で観戦!やはり、地元のクラブに対する思いはすごい!

結果はNewcastleの勝利!Tonyは大喜びでした!

観客の熱のこもった応援、そしてなんといっても縦に速いゲーム展開はとても迫力があり、これぞプレミアリーグといった経験ができました!

このような施設見学やプレミアリーグ観戦はFA LEVEL 2ではないため、このプログラムの魅力のひとつかと思います。指導法以外でも、イングランドのフットボールに触れる機会が多くあることがこのライセンスのメリットでもあるかと。

では、このあたりでPART 2は終わりです。長くなりましたが、お付き合いありがとうございました。

次回、PART 3では残りの日程(8日目〜16日目)について書いていきたいと思います!

TORU

インターナショナルフットボールコーチングライセンスに関する質問(費用、滞在期間、語学学校などなど)などは、下記リンクよりお問い合わせ可能です。現地在住のFootball@UKスタッフが対応いたします。

お問い合わせリンク

イングランドの下部リーグでサッカー選手として暮らしてみる!Part3

イギリスにて「サッカー選手として生活すること」(しかもGKとして)を目標にして、2年間のワーキングホリデーの間にイングランドの7部と8部でプレーした玉井リョウさん。

2015年の冬の移籍で、クリスタル・パレスがFWケシ・アンダーソン(19)選手のシンデレラストーリーで話題になったイングランド8部リーグ。サザンリーグ・ディビジョン1・セントラル(8部相当)のバートン・ローバーズからの移籍でした。

リョウさんがワーホリの期間である二年間で実際に体験したフットボールの下部リーグとはどんなものであったのでしょうか?(全3回)

第1回はこちら(ガムシャラに挑んだチーム探し)
第2回はこちら(イギリスと日本サッカーの違い)

さて、今回が最終回です。

•ピッチ上で実際に使っていた英語

•はたして1ヶ月の給与はどれくらいだったの?

そしてリョウさんが、2年間のイギリス生活を振り返っています。

プレーするためには英語はどれくらい必要か?

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チームメートと会長

英語に関しては事前に準備しておくにこしたことはありません。

渡英前は外人の話す英語はほぼ100%何言っているかわからない状態で、英文法と単語帳をそれぞれ握りしめて出発しました。

必要な英語力を鍛えるために勉強方法

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まずイギリスに到着した翌日から2ヶ月ほど、語学学校に通いました。
読み書き、会話など、だいたいのことがカバーしている授業内容でした。

授業料も比較的安く(1ヶ月15万円くらい)、学校で仲良くなった友達とカフェなどで会話できるチャンスが増えてよかったなぁと思います。キングスクロスに位置しており、移動が便利でした。

約3年前の話なので色々変わっていることもあるかと思うので、気になる方はウェブサイトでチェックしてみてください。

語学学校のマルバーンハウスMalvern House 
→ http://www.malvernhouse.com/


とにかく英語を実践、あとは慣れる!

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チームメートのアンソニー

自分からイギリス人や外国人のコミュニティーに出向き、強制的に英語を話さなければいけない環境に身を投じることで自然と英語力はついてきました。

例えば、、、

外国人とのシェアハウスに住む、
友達に誘われたパーティーをなるべく断らない、
ジムや図書館のメンバー会員手続きをしたり、
カフェに行って店員と話したり、

そして、僕の場合は特にサッカークラブに属していた事が大きかったです。

そこではまさに学校では教えてくれないような言葉や表現をチームメイトを通して学び、間違いなく一番英語が身に着いた場所でした。 

こういっちゃ悪いかもしれないが、サッカー選手は汚い言葉が大好きでした!

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ここからは実際にサッカーの現場やピッチ上でよく使われている英語を紹介します。

実際に体験して使っていた英語で、この言葉単体だけでも使えると思います。

ピッチ上や普段のコミュニケーションでも無理に文章にしようとして言葉に詰まるよりも、シンプル、短く、を心がけえていました!

攻撃のときに使うサッカー英語  (まぢで使えます!)

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Shoot! (シューッ!)
シュート打て

Finish! (フィニッシュ!)
シュート打て

Bang it! (バニッ!!)
シュート打て 

Deliver! (デリヴァー!)
(サイドでボール持ってる味方に対して)
センタリングしろ、クロス上げろ

And again! (アン  アゲッ!)
ワン・ツー (これを言わないと“ツー”は返ってきません。。。)

Time!

フリーだぞ(You have time=お前には時間がある、の略) 

Man on! Behind you! (マノーン、ビハイドゥー)
真後ろからきてるぞ(日本でもお馴染み、発音もマノーン) 

Left,Right shoulder! (レフト、ライト、ショルダー)
左、右後ろ(にいるぞ)から来てるぞ
→相手の位置をより正確に味方に伝えられ、日本では使われていない便利な表現です

 Line! (ライン)
縦!

Square!  (スクウェア)
横!

Set! (セット)
おとせ (日本だと“チョン”とも言いますね) 

Leave it! (リーヴィッ!)    
触るな、見逃せ
(ラインを割りそうなボールや、スルーしてほしい時に)

守備のときに使うサッカー英語  (まぢで使えます!)

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Keepers!
キーパー“ズ” です

Go! Pressure! 
寄せろ

Watch him!
あいつをみろ(少し間合いを置いて)

Pick him! (ピックヒム)
あいつにつけ(マークを見失ってたり、誰をマークするか曖昧な時)

Stand on him! (スタンド オンヒム)
あいつにつけ(ぴったりと)

Header! (ヘダー)
ヘディングしろ

Away! (アウェイ)
クリアしろ

Hook it! (フッキッ)
ひっかけて蹴れ
(後ろ向きでボールを追いかけている時に、背後やゴール方向に向かってラインを割らないように蹴ること)
→これも日本では無い表現ですね。

クリアはaway でhookは残せ、みたいな感じ。

Get out! (ゲッラウ)
ライン上げろ(ゴール前からクリアした直後に、キーパーがよく使います)

Squeeze up! (スクィーズ アップ)
ライン押し上げろ(ボールに対してコンパクトに寄せるイメージ)


その他のサッカーの場で使える英語

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Come on boys! (カモーン ボーイズ)
いくぞ!

(鼓舞する意味で。boysのところをGuysや Ladsなどにも言い変えます)これ良く使います。

Hand ball (ハンボー)
ハンド(ちょっとしたことでも審判にこれを言ってアピールしています。)

Booking (ブッキン)
イエローカード、警告

Sent off (セント オフ)
レッドカード、退場


はたして選手として給料は、どんなものであったのか?

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サッカーで海外にチャレンジする人にとって、どれくらい給料をもらえるかは気になる部分であると思います。

僕の経験した範囲内(イギリス7部、8部)ではありますがお伝えしましょう。

まず給料をもらえていた期間はシーズン中のみ。

なので6月~8月のオフシーズンからプレシーズンにかけては給料が貰えません。基本的に給料は試合の日に試合給として支払われ、固定給はありませんでした。

シーズン初めにサインしたのは、17名の登録メンバー入りで£40

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試合終了後に監督が封筒に入れたものを手渡し(放り投げて)でくれます。

出場の有無に関係なく17名の登録メンバーに入れば貰え、金額はシーズン初めにサインした額が£40でした。

ただし開幕戦やカップ戦の決勝や昇格のかかった試合、またフレンドリーマッチ等の試合の種類によって金額も上下しますし、さらに試合で活躍したり、僕はないですがゴールを決めたらそれもまた貰える額が変わってきます。

1ヶ月で4万円也。ロンドンでの1人暮らしには足りず

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シーズン中はほぼ毎週土曜に試合があり火曜日もたまにあるので、月6回給料をもらえる日があるとすると1か月で£240、£1を¥170とすると平均して¥40,800貰っていました。

しかし、ロンドンで一人で生活するにはこれでは足りないので、午前中や練習の無い日は日本にいた時の知人に紹介してもらった日本食レストランのキッチンでアルバイトをしながら生計を立てていました。

チームメイトの中には核となる選手が2~3人いて、その選手たちは他の選手とは違う契約でより多くの給料をもらっていました。

もっと実力のある選手はビザの制限がかからないディヴィジョンぎりぎりまでチャレンジできる可能性はあると思います。。

(ただし、日本人がプロクラブに入るには代表経験等が無ければならないという遥かなる壁のビザ問題に関わってきます)

おわりに

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この記事の一番最初にも書いたとおり、渡英当時の目標である「サッカーで食っていくこと」は結局達成できませんでした。

しかしながら日本ではプロになれなかった自分が、

クラブと契約し、
サッカーの本場で選手として少ないながらも給料をもらい、
2年目でカテゴリーのスッテプアップ、
そして試合にも多く出場できたこと、

それらは今後への大きな自信になりました。

J3入りを目指す広島のクラブ(廿日市FC)で現役続行

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幸運にも知り合いの方の紹介をきっかけに、今でも現役で広島でJリーグ入りを目指しているクラブでサッカーを続けています。クラブ発展への手助けができればと目標を切り替え頑張っています。

イギリスで体感したことは、今でもよく覚えています。

芝生のピッチ、

まるでラグビーのようにぶつかり合う魂のこもったサッカー、

ストレートな感情表現、

観客との距離、

木製のスタンド、

試合後のビール。

これらのフットボールの雰囲気と経験を少しでも伝え、イギリスのサッカーや暮らしに興味を持ってもらえれば嬉しいかぎりです。

また、実際に留学を考えている方へは出発前に現地の様子を知る情報として活用いただければと思います。

それでは、また! 玉井リョウヘイ

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編集後記

リョウさんとはロンドンで定期的に会い、地元のセミプロクラブでプレーする彼の話を興味深く聞いていました。

サッカーの友達が増えるごとに、彼の英語も上手になっているなと感じると同時に、「おれももっとやんなきゃ!がむしゃら!」と刺激を受けていました。

アルバイトで汗を流しながらトレーニングに向かい、日本人が誰もいない日曜日の勝負の世界に挑む時間は、必ず今の地でいきるであろうと思います。

海外で学んだことを日本のサッカーに還元するって、そんな簡単な話ではないですが、彼のように自主的に動きづつけ、壁を登り続ける人が増えることが日本サッカーの発展に必ず繋がると信じてやまないっす!

第1回はこちら(ガムシャラに挑んだチーム探し)
第2回はこちら(イギリスと日本サッカーの違い)

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