イギリスのフットボールクラブのスタジアムを自転車で巡りたいと日本から自転車とともに乗り込んできたN君。 イギリスを北から南へと縦断をしながら、旅をすすめていきます。
第1弾は、出発編とニューカッスルまでへの道のり。クールかつスタイリッシュがN君のモットーにありますが、もちろんそんなにかっこいいだけなんて旅であるはずもなく、ハプニングがつきものになります。
〝イギリスを縦断しながらフットボール文化に触れたい〟
「プレミアリーグの全スタジアムを訪れたいなぁ。」
とファミレスで、この旅の構想はふと浮かんだ。一緒にいた誰かと旅行の話をしていた時だ。
時間も労力も莫大にかかる実に効率の悪い旅。でも、フットボール馬鹿の僕からしてみれば、どんなに燃費が悪かろうと、成し遂げたくなるような、そんなアイデアだった。
フットボール馬鹿、マンチェスターのNational Football Museumの前にて
“自転車でイギリスを縦断することに”
2014年2月から4月にかけて、イギリスを北から南にかけて縦断した。
プレミアリーグの全サッカースタジアムに行くという当初の路線からは徐々に変わっていったが、〝自転車で〟イギリスのスタジアムを巡ってみるということになった。
イギリスの冬は寒く、雨も多い。でもそんなことは気にせずに、小回りの効く移動手段を選んだ。始まりの地はニューカッスル、終点はブリストルに設定した。
“イギリスフットボールの旅を完結させたい”
旅から半年以上経過した今、あの旅をいま一度振り返りたいと思った。
というより、恥ずかしいことにブログは未完成のままだったし(更新を途中でやめた)、日記も汚い字でメモが残してある程度。
じつは、この旅はまだ完結していない。フットボールの魅力だけでなく、その街の情景や雰囲気、些細な出来事などを織り交ぜながら、この旅をまとめていくつもりである。
フットボールファンだけでなく、旅の大好きな人たちにもぜひ読んでもらいたいなと・・・
“プレミアリーグの日程と北から南のクラブを調べる”
旅には準備が必要不可欠。
旅の持ち物、ルート、宿泊先・・・さまざまな準備が必要で、旅の一つの醍醐味である。準備段階が一番おもしろいと言っても過言ではない。
まずこの旅を計画する上で必要になった情報は、2月から4月にかけて開催されるプレミアリーグの日程。
北のクラブから南のクラブへ下っていき、大雑把な行程を組んだ。あとは自分の体力と相談しながら、無理せず旅を進めていけばいいと思っていた。
“イギリスにおいて、街にクラブがないなんてことはまず当てはまらない”
次に持ち物。旅の持ち物は大袈裟に言えばたった2つだけ。
自転車とバックパックだ。もう一つ付け加えるとすればスマートフォン(地図、カメラ、宿泊先の予約など、全てがこの小さなパソコンで出来る)。
旅はスタイリッシュにすることが一番だと思っている。
余分な荷物、情報は一切いらない。
知っていればいいことはその街にフットボールクラブがあるかどうか。そしてイギリスにおいて、街にクラブがないなんてことはまず当てはまらない。
“20を超えるスタジアムを訪れ、10試合以上のゲームを観戦”
自転車は日本で購入し、輪行という形で持ち込んだ。輪行というものをこの旅の計画段階で知り、もちろん初体験。家の車庫で出発前に数回、組み立てと解体を繰り返しただけで練習は終了。現地で組み立てられなかったらその時はその時であると、腹をくくった。
バックパックはたしか35Lくらいのものだったはずだ。(ブリストルで出会った友人に譲ってしまったため今は手元にない)。
もちろんバックパックの旅も初体験。
何事も初めてのことに不安を感じてしまいがちだが、その不安をワクワク感というエネルギーに変えられるかどうかが、旅の旨味を最大限に引き出す第一歩と言える。
この旅では20を超えるスタジアムを訪れ、その半分ほどの数の試合を観戦することができた。宿泊先やルートの決定、試合のチケットの購入方法などが気になる人もいるだろう。その都度、紹介していきたい。
“出発前日の日本での大雪”
2月、いよいよ出発だという前日に日本は大雪に見舞われた。飛行機は問題なかったが、空港まで行く手段が限られた。当初、最寄りの駅から空港まではバスが出ていたので、そのバスを利用する予定だったが、バスが大雪の影響で運行中止。
仕方なく、電車で自転車の入った輪行袋とバックパックを持って空港に向かった。旅での予定変更は当たり前。幸先の良いスタートだった。
“出国、ドバイへ”
日本に別れを告げ、いよいよ出国である。使用した航空会社はエミレーツ航空。ドバイ経由でヨーロッパの都市どこかを選択できる格安航空券を購入した。
旅行代理店に出向くよりも、インターネットで格安航空券を探して自分自身で購入する方がお財布にはやさしいケースが多い(ただし、ツアーやホテルとのパッケージ販売になっているものは旅行代理店の方が安い場合がある)。
ドバイでのトランジット時間は2時間ほどしかなかったので、ドバイの空港にある免税店をぶらぶらしているだけだった。
ドバイはハブ空港になっているので、乗り換えの表示もわかりやすく、旅行者には非常に便利な空港だった印象がある。ただ、一歩外に出るときっと強烈な暑さが、待ち受けていたのであろう。
“イギリスの空港、ニューカッスルに”
ドバイからニューカッスルへの便はほとんどがイギリス人で、日本人は見当たらなかった。
これまで日本人ばかりの飛行機にしか乗ったことのなかった僕にとっては奇妙な空間だった。無事、5~6時間のフライトを経て、ニューカッスルに到着。
まず、最初の関門は入国審査だ。イギリスの入国審査が特に厳しいことは有名で、入国拒否というのもよくある話。恐る恐る入国審査官の前に立ち、いくつか質問を受ける。
驚いたことに、旅行の目的と滞在期間を聞かれただけですんなりと通してくれた。ヒースロー空港では、入国審査で2~3時間待ちは当たり前と聞いていただけに、拍子抜けしてしまった。
入国審査では、英語ができなくても、自信ありげに質問に答えれば乗り切ることはできる。もちろん笑顔も忘れずに。
ハプニングは荷物の引き取りで起きた。バックパックはすぐにでてきたものの、肝心の自転車がなかなか出てこない。
これがなければイギリスでの旅は始まらない。ロストバゲージも覚悟した最後の最後、本当に最後の一つの荷物が自転車だった。しかも、コンベアーの幅より少し大きかったのか、流れてくる途中で自転車がつっかかり、空港のスタッフに取ってもらった。輪行袋はズタボロの状態だった。
空港の外に出て、自転車を組み立て始める。思ったよりも寒くはない。日本の大雪を前日に経験していたからだろう。地元の人に変な目で見られながらも、練習が奏功し、パニックになることなく自転車は完成した。
空港からニューカッスルまでの道のりはGoogle Mapで検索したものをスマートフォンの画像フォルダに入れておいたので、それを見ながら、イギリスでの第一歩、いや、一漕ぎ目。空港を少し出ると、そこにはこれぞイギリスという田園風景が広がり、家もレンガ造りで可愛らしい。思わず叫んでしまいそうな道がひたすら続く。
街中に入っていくにつれ、車や人の数も増えていく。そしてとうとう、この旅、最初のスタジアムに辿り着く。
セント・ジェームズ・パークだ。街の中心部にあるスタジアムは珍しく、このスタジアムは中心部から歩いて5分ほどのところだ。急な丘の上に聳え立ち、いかにも要塞といった雰囲気を持つスタジアムである。
その10分後、(幸運にも)自転車を押しているときに前輪が外れた時はかなり焦ったが無事自転車での旅が始まった・・・もう少し組み立ての練習はしておいたほうが良かったかもしれない。
次回は、セント・ジェームズ・パークでの観戦記、ニューカッスルの街の様子を紹介する。
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次回は、12月末更新予定です。
著者プロフィール
- イギリスのサッカースタジアムを自転車横断しようと決意。日本から自転車を運び、ニューカッスルをスタート。こちらのフットボール文化がどのようなものなのかを、自転車に乗りながらレポートします。